「ジレンマ」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「ジレンマ」の意味とは
ジレンマとは、相反するリスキーな2つの選択肢に板挟みになる状態のことです。
「両刀論法」とも呼ばれるジレンマは、その定義である「2つのいずれの選択にも不利益が生じる問題」を提起し選択を求めることで、受け入れがたい結論によって相手を困らせる論法として、哲学、ディベートにおいてしばしば使われます。
例えば、「あなたが真実を語れば友人に憎まれるだろう。嘘をつけば世間に憎まれるだろう。しかし真実を語るか、嘘をつくかのいずれかである。ゆえにあなたは友人から憎まれるか世間から憎まれるかのいずれかである。」
この場合、どちらを選んでも憎まれることになります。
ジレンマの語源
ジレンマの語源はギリシャ語の「δί-λημμα」です。
これは、「di -lemma(ディ・レンマ)」と呼び、「2つの仮定(定義)」を意味する言葉です。英語はこの読み方を取り入れて「dilemma」と綴ります。
この語源の意味から、「ジレンマは2つの問題が存在することが定義」とわかります。
ジレンマを使う際の注意点
時に「葛藤」と同義語のように使われますが、葛藤は定義が2つとは限らず「問題が複数でもつれる様」を表すので、ジレンマの表現に類似していますが同じ意味ではありません。
学問としてのジレンマ
様々な分野において、ジレンマを使った理論が存在します。
ここでは有名なジレンマを2つご紹介します。
囚人のジレンマ
囚人のジレンマはゲーム理論の1つです。
協力する方が、しないよりも良い結果になるとわかっていても、協力しない方が利益を得る状況では互いに協力しなくなるというジレンマです。
共犯の疑いがある2人の容疑者を自白させるため、警察は2人にある提案を持ちかけるところからゲームは始まります。
「それぞれ自白か黙秘か選べ。もし1人が自白して共犯者が黙秘したら、自白した方の懲役を共犯者にかぶせ、自白した人は釈放される。2人とも黙秘すれば、本来の懲役より短くする。2人とも自白すれば本来の懲役そのままにする。」
互いに自白して2人とも本来の懲役を受けるより、互いに黙秘して短くする方が得でしょう。
しかし、それぞれが個人の利益のみを追求する限り、「互いに黙秘」ではなく「互いに自白」という選択肢をとってしまうのです。
これが「囚人のジレンマ」です。
イノベーションのジレンマ
イノベーションのジレンマは、企業経営の理論の1つです。
企業規模が大きく創業期間が長い大企業ほどイノベーションを起こすのが難しく、ベンチャー企業に負けてしまうことを論じています。
要因は主に3つあります。
・持続的イノベーションに執着する:これは既存商品の改良を続けるイノベーションです。顧客の意見を取り入れ改良を重ねていくことは一見良いサイクルに見えますが、ある段階で顧客の需要を超えてしまいます。顧客が満足してるのにそれに気づかず改良を重ねても、需要と供給が合わないため顧客は別のものに目を向けてしまいます。
・新規事業に投資できない:新しい技術や商品は、市場規模が小さいものです。すでに安定して利益を得ている企業はなかなか先が読めない小さい市場に投資することができません。 また既存事業の専門性が高まると新規事業に参入しづらくなるといった側面もあります。
こうした様々な角度から、大企業は新規事業に参入する機会を逃がし、結果としてベンチャー企業に敗北してしまう傾向にあります。
これが「イノベーションのジレンマ」です。
ジレンマの派生
ジレンマから派生した言葉は以下のようなものがあります。
・ヤマアラシのジレンマ:ジレンマの比喩的例え。極寒に耐えるため身を寄せたいが、体の針が邪魔をして互いに近寄れない、ショーペンハウワーの寓話によるもの。
・社会的ジレンマ:個人の合理性が社会では必ずしも利益が一致しないことからどちらかを選択することで乖離が生じる状況のこと。
・ジレンマに陥る:ジレンマの渦中に入り込み苦悶する様子。
「ジレンマ」の例文・用例
ジレンマを使った例文・用例を紹介します。
●懸命に働いて高収入を得るか低収入で自由を選ぶべきかジレンマだ。
●妻と実母の諍い、どちらの味方に付くかジレンマに陥る。
SNSでの「ジレンマ」の使われ方
「ジレンマ」の類義語
ジレンマの類義語は、「板挟み」「窮地」「ディレンマ」「葛藤」「苦境」です。
意味はいずれも、望ましくない選択肢から1つを選ばなければいけない場合の不安定で困難な状態、です。
「ジレンマ」の対義語・反意語
ジレンマの対義語・反意語はありませんでした。