「暗中模索(あんちゅうもさく)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「暗中模索」の意味とは
暗中模索とは、手がかりが無い状態で、解決策を色々と試すことです。
暗中模索の「暗中(あんちゅう)は暗闇の中のことです。
また、「模索(もさく)」は手探りで探したり、何かを達成することです。
すなわち、周囲が見渡せない暗闇の中で、手探りで何かを探し求めることを意味します。
転じて、手がかりが無い状態で打開策を考えたり、手を尽くしたりするような場面で用いられるようになりました。
暗中模索には、苦しい状況の中でも何とか解決の糸口を見つけ出そうとする前向きなニュアンスが含まれます。
例えば、以下のようなケースで用いられます。
「暗中模索しながらも、最後までプロジェクトをやり遂げられた」
また、暗中模索によって達成(解決)される事柄は、自分にとって難しく、苦労を伴うものです。
そのため、自虐的ないし謙遜の意で用いられることも多いです。
「暗中模索」の語源
暗中模索の語源は、『隋唐嘉話(ずいとうかわ)』と呼ばれる中国「唐」の時代に成立した歴史書です。
この中に、以下の一節が収録されています。
「暗中摸索著 亦可識之(暗中に摸索し著するも、亦(ま)た之れを識(し)るべし)」
翻訳すると「(偉い人に会ったら)暗闇を探し回っても、彼のことを知ろうとするだろう」という意味です。
これは唐代の政治家である許敬宗(きょけいそう)の「名前を覚えようとしない悪癖」に対して苦言を呈する言葉として伝えられています。
ちなみに、原文には「暗中模索」の「模」に「摸」が使われています。
元々「暗中摸索」だったのですが、日本において「摸」は常用外漢字であるため、代わりに「模」が当てられています。
「暗中模索」の英語表現
暗中模索を英語で言い換えると「grope in the dark(暗闇の中で捜す)」になります。
ただし、比喩的な表現として一般的ではありません。
そのため、暗中模索と似ている表現である「trial and error(試行錯誤)」のほうが、意図を伝えられる可能性が高いです。
また、目的語を伴う場合は「grope for~(~を手探りで捜す)」も有用です。
文学作品における「暗中模索」の用例
日本の文学作品にも「暗中模索」が用いられているケースがいくつかあります。
例えば、時代小説の大家として知られる吉川英治は『忘れ残りの記』の中で、暗中模索を用いてます。
「依頼心というでもなく、ふと暗中模索する気もちが、ぼくを闇夜へ追い出していたのである。」
また明治から昭和にかけて活躍した文学者、正宗白鳥も『他所の恋』で以下のような表現を残しています。
「薄暗い見物席を二階から暗中模索の態度で見ていると、あの二人に類似した男女が随所に見つけられた」
「暗中模索」の例文・用例
暗中模索を使った例文・用例を紹介します。
●不慣れな分野に着手することになり、しばらく暗中模索することになるだろう。
●暗中模索しながら、交渉を進める。
SNSでの「暗中模索」の使われ方
「暗中模索」の類義語
暗中模索の類義語は、「五里霧中(ごりむちゅう)」「試行錯誤(しこうさくご)」「紆余曲折(うよきょくせつ)」「悪戦苦闘(あくせんくとう)」です。
五里霧中とは、物事の手がかりが無く判断に迷うことです。
試行錯誤とは、目的を達成するために色々と試してみることです。
紆余曲折とは、事情が複雑に込み入っていることです。
悪戦苦闘とは、困難な状況の中で苦しみながら頑張ることです。
「暗中模索」の対義語・反意語
暗中模索の対義語は、「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」「即決即断(そっけつそくだん)」です。
一目瞭然とは、物事や状況が一目見ただけで明らかであることです。
即決即断とは、迷わずにすぐ決断することです。