「疑心暗鬼(ぎしんあんき)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「疑心暗鬼」の意味とは
疑心暗鬼とは、一度、疑いを持ち始めると、さらなる疑念に憑りつかれてしまい、余計な恐怖・不安に駆られてしまうことを意味する四字熟語です。
例えば、ある人に対する根も葉もない噂を聞いた後で、その人の言動や行為がすべて怪しいものに感じられてしまう状況などです。
上記のように個人の中に生じる疑心暗鬼もあれば、集団的に疑心暗鬼に囚われ、本来ありもしない恐怖や疑念によって、不本意な結果を招いてしまうケースもあります。
例えば、会社で起きた窃盗事件によって、(実は外部の人間による犯行であったにも関わらず)社員同士で余計な疑いをかけ合ってしまい、社内の人間関係が悪化してしまう場合などです。
また、昨今の事例では、陰謀論の流行によって社会的な不安・混乱がもたらされることも、疑心暗鬼の一例と考えてよいでしょう。
このように、主に事実かどうかが明らかになっていない段階から妄想や偏見に憑りつかれて、周りの全てが疑わしく思えてしまう状況を「疑心暗鬼」と呼びます。
一般的に「疑心暗鬼が生じる」「~が起こる」といった感じに表現されますが、「~を持つ」「~を抱く」「~に囚われる」「~に陥る」など様々な言い回しが可能です。
「疑心暗鬼」の語源や由来は?
疑心暗鬼の「疑心」は、仏教において真理に疑いを持つことを指す言葉です。
また、「暗鬼」は暗闇の中に鬼の姿を見出すことです。
すなわち「疑心暗鬼」は「疑いの心を持つと、暗闇に鬼が見える」という風に直訳できます。
四字熟語としての初出は、古代中国における諸子百家の一人「列禦寇(れつぎょこう)」による著書「列子」だと言われています。
鉞(まさかり)を見失った男が、隣の家の息子を犯人と決めつけ、彼の全ての言動を信用しなかったものの、自分が置き忘れていた鉞を発見した途端に、彼の言動が怪しくなくなったという逸話が由来です。
「疑いによって、ありもしない妄想や偏見に囚われてしまう」といった現代における意味合いと、ほぼ同じであることがわかります。
「疑心暗鬼」の英語表現
疑心暗鬼の意味を英語で伝えたい場合は、以下のような表現が適しています。
「Doubts beget doubts」
これは英語圏において、ことわざとして使用されている言葉です。
また、以下のような表現も可能です。
「Suspicion will raise bogies」
「疑心暗鬼」が話題になった出来事
近年では人気VOCALOIDプロデューサー「梅とら」氏の楽曲『疑心暗鬼』がニコニコ動画やYoutubeの公式チャンネル(official梅とら)で公開され、人気を博しました。
また、様々な歌い手によって「歌ってみた」動画が投稿されており、例えば「【MAIN】96NEKO-CHANNEL」の『【96猫】疑心暗鬼を歌ってみた』では約400万再生が、「Kuzuha Channel」の『【】歌ってみた 疑心暗鬼 葛葉 にじさん【】』では約990万再生が記録されています(21年11月時点)。
「疑心暗鬼」の例文・用例
疑心暗鬼を使った例文・用例を紹介します。
●犯人探しは疑心暗鬼を生みます。
●疑心暗鬼によって真実を見失う。
SNSでの「疑心暗鬼」の使われ方
「疑心暗鬼」の類義語
疑心暗鬼の類義語は、「猜疑心」「草木皆兵」「杯中の蛇影」「風声鶴唳」です。
猜疑心(さいぎしん)とは、人の言動や行動が信じられなくなる気持ちのことです。
草木皆兵(そうもくかいへい)とは、草木が敵兵に見えてしまうほど恐れおののくことです。
杯中の蛇影(はいちゅうのだえい)とは、一旦疑い始めてしまうと、何でもないことでも怯えてしまうことです。
風声鶴唳(ふうせいかくれい)とは、風の音や鶴の声のような些細なことにも驚き、恐れてしまうことです。
「疑心暗鬼」の対義語・反意語
疑心暗鬼の対義語は、「安心立命」「明鏡止水」「虚心坦懐」です。
安心立命(あんしんりつめい)とは、天命に身を任せるように物事に動じないことです。
明鏡止水(めいきょうしすい)とは、心に邪念が無く落ち着いていることです。
虚心坦懐(きょしんたんかい)とは、心にわだかまりが無い状態のことです。