「五里霧中(ごりむちゅう)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「五里霧中(ごりむちゅう)」の意味とは
五里霧中(ごりむちゅう)とは、周囲の霧によって視界が遮られて、どの方向に進んだら良いかわからなくなってしまう状況のことです。
転じて「物事の見通しが立たないこと」「どうしたら良いか迷っていること」「手探りで進むこと」のたとえとして用いられます。
「ごりむちゅう」と読みますが、しばしば「霧中」が「夢中」と書き間違われやすいので気を付けましょう。
五里霧中は例えば、以下のような場面で使用することができます。
「コロナ禍で飲食業の再開は五里霧中だ」
「下積み時代は五里霧中をさまよいながら、ギリギリ食いつないでいた」
あるいは本来の意味通り、物理的に周囲が見渡せない状況に対しても用いられます。
「山奥に迷い込んでしまったが、五里霧中で遠くが見渡せない」
ちなみに五里霧中の「五里霧」とは「五里四方の霧」の意で、遠くまで広がる霧のことです。
「五里霧」で一区切りのため、四字熟語の構成として「五里・霧中」とはならず「五里霧・中」であることに注意が必要です。
「五里霧中」の語源
五里霧中の語源は、5世紀の中国で完成した『後漢書』の「張楷伝(ちょうかいでん)」です。
原文は以下の通りです。
「性好道術、能作五里霧」
(性、道術を好み、能く五里の霧を作す)
前述の通り、五里霧とは五里四方に立ち込める霧のことです。
中国固有の宗教「道教」では、このような霧を湧かせる術があったという伝説が記録されています。
そして後漢の儒学者「張楷」もまた、この道術を好んでおり「五里霧」を発生させて、自分の姿をくらませることができたと『後漢書』は伝えています。
「五里霧中」の英語表現
五里霧中を英語で伝える場合には「in a fog」が一般的です。
「fog」とは「霧」のことですが、英語圏においても「途方に暮れている状態」「当惑している状態」のたとえとして用いられています。
あるいは、別の表現として「all at sea」があります。
直訳すると「海上にいる」ですが、こちらも「in a fog」と同様な意味を持っています。
文学作品における「五里霧中」の活用事例
五里霧中は、しばしば有名な文学作品にも使用されています。
例えば、夏目漱石の『明暗』には以下のような記述があります。
「彼は今日までその意味がわからずに、まだ五里霧中に彷徨していた」
また、太宰治も『燈籠』において五里霧中を使っています。
「なんとかして巧く言いのがれなければ、と私は必死になって弁解の言葉を捜したのでございますが、なんと言い張ったらよいのか、五里霧中をさまよう思いで、あんなに恐ろしかったことはございません。」
「五里霧中」の例文・用例
五里霧中を使った例文・用例を紹介します。
●世界情勢が五里霧中である今、我が国の正しい方向性を見極めるのが難しい。
●五里霧中だったので外出を断念した。
SNSでの「五里霧中」の使われ方
「五里霧中」の類義語
五里霧中の類義語は、「暗中模索(あんちゅうもさく)」です。
暗中模索とは、目的を達成する方法が分からないまま、色々と試すことです。
「五里霧中」の対義語・反意語
五里霧中の対義語は、「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」です。
一目瞭然とは、一目で周囲や状況を把握できることです。