「漁夫之利」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「漁夫之利(ぎょふのり)」の意味とは
漁夫之利とは、両者が争っている間に、第三者が苦労することなく利益を得ることです。
「漁夫」とは、漁師のことで「夫」を「父」と表記する場合もあります。
また、一般的に「漁夫の利」という具合に「之」をひらがなに置き換えるパターンが多いです。
漁夫之利は、主に3勢力以上が参加する競争で発生しやすい現象です。
例えば、それぞれ同等な戦力を持ち、他国の領地と資源の獲得を狙う3つの勢力がある場合、2つの勢力が争い始めれば、残りの1勢力は戦力を温存・強化する隙が出来ます。
さらに前者が戦争によって疲弊すれば、ダメージの無い後者が相対的に有利となるため、後者は何の犠牲も払わずに利益を得たということになります。
漁夫之利は主に戦争や権力争いで行われることがあり、偶然、相争う二者の隙を見て台頭できた幸運なケースがあれば、両者が争うように仕向けて利益をかすめ取るケースもあります。
ちなみに、言葉の用法としては「~を得る」「~を占める」などと続く場合が多いです。
「あそこで戦闘しているプレイヤーの背後をついて漁夫の利を得よう。」
「結局、漁夫之利を占めたのは、国内シェア3位の企業だった。」
上記のように、近年ではビジネスやゲームにおける競争にも「漁夫之利」を用いる場面が増えました。
「漁夫之利」の語源や由来は?
漁夫之利の由来は、戦国時代の中国における権謀術数が書かれた『戦国策』だと言われています。
燕国が趙国に攻め込まれようとしている時に、燕の遊説家である蘇代(そだい)が趙の国王のもとに赴き、趙国の侵入を思いとどまらせたという逸話があります。
蘇代は趙の国王を説得する時に「貝を食らおうとする鳥と、鳥に食われまいとする貝とが相争っている隙に、後からやってきた漁師(漁夫)が両者とも捕らえてしまった」という寓話を話したそうです。
この寓話における漁師がまさに「漁夫之利」の「漁夫」というわけですね。
ちなみに、『戦国策』では「漁夫」ではなく「漁父」という漢字で表記されています。
「漁夫之利」の英語表現
漁夫之利を英語で伝えたい時は、以下のような表現が適しています。
「Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it.」
(二匹の犬が骨のために喧嘩をしているうちに、他の犬がさらって行ってしまった。)
この表現は英語圏における漁夫之利と同様な意味のことわざです。
「漁夫之利」の派生パターン
近年では、ゲームで漁夫之利のような状況を作り出したい時に「漁夫る(ぎょふる)」と省略して言ったりします。
主に、以下のようなオンラインのマルチ対戦型のゲームで行われることが多いです。
・フォートナイト
・APEX
・PUBG
他の勢力との戦闘に集中している敵に対して、気付かれないように忍び寄って攻撃するシチュエーションに対して用いられます。
とりわけチーム戦における戦略的な打ち合わせで「漁夫るか?」「漁夫りたい」「漁夫ろうぜ」などと取り交わされることがあります。
「漁夫之利」の例文・用例
漁夫之利を使った例文・用例を紹介します。
●漁夫之利で勝利を得る。
●漁夫之利をするなんて卑怯だ。
SNSでの「漁夫之利」の使われ方
「漁夫之利」の類義語
漁夫之利の類義語は、「鷸蚌之争」「犬兎之争」「田父之功」です。
鷸蚌之争(いつぼうのあらそい)とは、両者が争っている内に第三者が現れて利益を横取りしてしまうことです。由来は漁夫之利と同じ『戦国策』の燕策です。
犬兎之争(けんとのあらそい)とは、相争う両者が疲弊したところで、第三者が利益をかすめ取ることです。由来は『戦国策』の斉策です。
田父之功(でんぷのこう)とは、相争う両者が共倒れし、関係のない第三者が利益を得ることです。由来は『戦国策』の斉策です。
「漁夫之利」の対義語・反意語
漁夫之利の対義語・反意語はありませんでした。