「二股膏薬(ふたまたごうやく)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「二股膏薬」の意味とは
二股膏薬とは、その時の状況に応じて、付き従う人や意見を変えることを意味する四字熟語です。
「ふたまたごうやく」または「ふたまたこうやく」と読みます。
二股膏薬は「二股」と「膏薬」の2語で構成されています。
二股は「両方の内股」、膏薬は「練り薬」のことです。
二股は「二又」と書き間違えられることが多いので注意してください。
練薬を内股に塗ると、歩くだけであちこちに付いてしまうことから、自分の言動に一貫性が無く、節操が無い人のことを指します。
基本的に、上記のような人物に対する批判として用いられています。
全く同じ意味で「内股膏薬」という四字熟語もあります。
文学作品における「二股膏薬」の用例
二股膏薬は数々の文学作品でも使用されている言葉です。
例えば、歴史小説家の杉本苑子は歴史人物評論『決断のとき』の中で、「二股膏薬」を以下のように用いてます。
「前田利家あたりから『二股膏薬』とののしられたにせよ、三十三歳でこの措置は、なかなかの敏腕といえるだろう」
また、明治・大正時代の小説家、岩野泡鳴の『毒薬を飲む女』にも「二股膏薬」を見つけることができます。
「こんなぐらぐらしたふた股膏薬じみた男の出入は禁止する!」
中国文学者で小説家の高橋和巳もまた『我が心は石にあらず』の中で、以下のように表現しています。
「あんたは二股膏薬だ。あんたは商工会議所に出入りしたりして、経営者どもととりひきしている」
さらに、歴史小説の大家として知られる吉川英治も『三国志』シリーズの中で、二股膏薬を複数回、文中に登場させています。
「今、わが邸へ、董太師が美女をのせて、相府へ帰られたと、告げて来た者があるのだ。そんなことが知れずにいると思うのか。この二股膏薬め。八ツ裂きにしてくれるから覚えておれよ(群星の巻)」
「『二心をいだく双股膏薬め。――韓嵩を縛して斬り捨てい!』と、あたりの武士へ命じた。(臣道の巻)」
このように比較的、古い年代の小説や歴史小説の中で用いられているケースが多いようです。
ニュースや論説における「二股膏薬」の用例
現代において「二股膏薬」は日常会話よりも、ニュースや論説の中で見かけることがほとんどです。
例えば、ニュースメディア『NewsSocra』は22年3月22日付けの記事の中で、中国で全人代(※1)が閉幕したことを受け、三期目に突入した習近平体制の懸念点を、以下のように述べています。
「習近平一強の時代に入り、李克強をはじめとする共青団派を全部政権の中枢から追い出したが、本当はまだ多くの二股膏薬のような人間が存在し、習近平を悩ませている。だから三期目が手に入ったにもかかわらず、側近の李希に殺気に満ちた講話をさせて、反対派に警告を発しなければならなかった(※2)」
(※1.全人代:日本の国会に相当する立法府のこと)
(※2.引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/e9a0318051a9b7f210654e3a0bc1fb982ff0d156
)
また、『JBpress』は20年12月20日付けのコラムの中で、新型コロナウィルスに対する日本政府の対策について、以下のように評価しています。
「コロナ対策優先か経済優先か、二股膏薬的な政府の態度に不満を持っても、日本ではマスク着用に不平を唱える人はほとんどいない(※3)」
(※3.引用:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63281)
このように二股膏薬は誰か(何か)を批判する目的で用いられることがほとんどです。
「二股膏薬」の例文・用例
二股膏薬を使った例文・用例を紹介します。
●彼は二股膏薬な人物なので、信用ならない。
●彼女は二股膏薬とは正反対の、一貫性のある人だ。
SNSでの「二股膏薬」の使われ方
「二股膏薬」の類義語
二股膏薬の類義語は、「内股膏薬」です。
内股膏薬は、二股膏薬と同じ意味です。
「二股膏薬」の対義語・反意語
二股膏薬の対義語は、「首尾一貫」です。
首尾一貫とは、言動や方針がずっと変わらずに一貫していることです。