「巧言令色(こうげんれいしょく)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「巧言令色」の意味とは
巧言令色とは、心にもないお世辞を言ったり、うわべだけ愛想良く取りつくろって相手に媚を売る様子のことです。
「こうげんれいしょく」と読みます。
「巧言」と「令色」が組み合わさった四字熟語で、それぞれに意味があります。
巧言とは、人に気に入られるような飾られた言葉のことです。
「巧言を弄する」と言うように、美辞ではあるものの「口先だけの言葉」というネガティブな印象が含まれています。
令色とは、愛想の良い表情のことです。
令色もまた「人の機嫌を取るような、媚びへつらう表情」というような腹黒さが含まれます。
すなわち、一見、愛想が良くて相手が得意になるようなことを言うものの、腹の内では何か企んでそうな人のことを「巧言令色」と言います。
「巧言令色」の語源
巧言令色の語源は、春秋時代の中国で活動していた思想家の一人で「儒家」の祖として知られる孔子(こうし)の言葉から来ています。
孔子の死後、彼の言行を記録した『論語』の中に、以下の一文があります。
「子曰、巧言令色、鮮矣仁」
書き下し文は以下の通りです。
「子曰く(しいわく)、巧言令色(ごうげんれいしょく)、鮮なし仁(すくなしじん)」
このうち「巧言令色鮮し仁」はことわざとしても有名です。
「鮮し(すくなし)」とは「滅多にない(少ない)」という意味です。
また「仁」とは「思いやり」や「誠実さ」のことで、論語の文脈では孔子の理想とする「道徳」を指します。
すなわち「巧言令色を弄する人間は道徳に欠けている」と解釈できます。
ちなみに論語は全20編で構成されており、そのうち「学而(がくじ)編」と「陽貨(ようか)編」の2編に同じ句が出てきます。
それだけ、お世辞を言ったり、うわべだけの愛想を振りまくことに終始する人間像が、儒家の理念に沿わないことを伝えたかったのだと考えられます。
文学作品における「巧言令色」の用例
文学作品における「巧言令色」の用例を紹介します。
日本でも巧言令色の活用は古く、14世紀後半に書かれたとされる『太平記』にも用例を見つけることができます。
「巧言令色、君の心を悦ばしめしかば」
また、幕末・明治時代の啓蒙思想家として知られる福沢諭吉は『文明論之概略』の中で、以下のように述べています。
「巧言令色、銭を貪むさぼる者は、論語を講ずる人の内にあり」
さらに、明治から大正時代にかけて活動した小説家、徳富蘆花もまた『自然と人生』の中で、巧言令色を用いています。
「如何に巧言令色を嫌えばとて、毬いがの逆茂木さかもぎ、厚革の鎧よろい、猶なお其その上に渋染の鎧下までつけて、奥深く甘き心を秘するは余りならずや。」
「巧言令色」の例文・用例
巧言令色を使った例文・用例を紹介します。
●巧言令色で人の機嫌を取っても虚しいだけだよ。
●合わない上司にはとりあえず巧言令色に振舞っておけば。
SNSでの「巧言令色」の使われ方
「巧言令色」の類義語
巧言令色の類義語は、「美辞麗句」「舌先三寸」です。
美辞麗句(びじれいく)とは、中身のない巧みに飾られた言葉のことです。
舌先三寸(したさきさんずん)とは、口先だけのうまい言葉のことです。
「巧言令色」の対義語・反意語
巧言令色の対義語は、「剛毅木訥」「質実剛健」です。
剛毅木訥(ごうきぼくとつ)とは、飾り気はなく、心がしっかりしていることです。
質実剛健(しつじつごうけん)とは、心が強くて頼もしく、飾り気が無いことです。