「紆余曲折(うよきょくせつ)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「紆余曲折(うよきょくせつ)」の意味とは
紆余曲折とは、事情が込み入っていて複雑であることを表す四字熟語です。
「うよきょくせつ」と読みます。
「紆余曲折」の「紆余」は「道や地形が曲がりくねって続いている様」を意味します。
一方、「曲折」は「折れ曲がっている様」のことです。
ただし、何かが物理的に曲がりくねっている様を伝えたい場面では、ほとんど使用されることはありません。
経緯や事情が入り組んでいて、手間のかかる(かかった)状況を表現する際に用いられています。
基本的に、波乱を含む出来事を後から振り返る際に、その時の苦労や努力を述懐するシーンで使用されることが多いです。
例えば、以下のような感じです。
「この件が解決するまで、紆余曲折あったのよ」
「紆余曲折を経て、今の成功がある」
「二人は紆余曲折の末、結ばれた」
このように「~あった」「~を経て」「~の末」といった表現と共に用いられるのが一般的です。
ちなみにビジネスや日常会話では、話し言葉でも書き言葉でも通用し、正しい用法で使えば不自然な印象は持たれません。
「紆余曲折」と「試行錯誤」の違い
紆余曲折と似ている四字熟語として「試行錯誤」があります。
試行錯誤は「新しい物事に挑戦する時に、試みと失敗を繰り返しながら目的を達成すること」を指します。
また、過去を振り返る際に「色々あったが…」というニュアンスで用いられる点では、紆余曲折に通ずるものがあります。
「試行錯誤を経て、今の成功がある」
ただし、試行錯誤は本人が(目的達成のために)積極的に経験しようとするのに対して、紆余曲折は本人が不本意にも経験せざるを得なかったものです。
そのため、試行錯誤は未来に向けた意思表示にも用いることができます。
「試行錯誤を重ねながら頑張りたいと思います。」
一方、上記の文脈で紆余曲折は不自然です。
このように試行錯誤に比べると、紆余曲折な状況はややネガティブに捉えられます。
「紆余曲折」が用いられている作品
文学作品の中で「紆余曲折」が用いられている一文を、数例紹介します。
・徳富蘆花『思出の記』
「実は其その道こそ紆余曲折の千万里、行く程に行く程に近くなったり、遠くなったり、…」
・黒島伝治『短命長命』
「さまざまな紆余曲折を経て行く者とがあるだろう。」
・宮本百合子『「青眉抄」について』
「芸術家松園の内面の紆余曲折を語りあかすには足りないのである。」
・立原正秋『帰路』
「キリスト教徒のように神の存在を証明しなくとも生きて行けたが、しかしこの美しい風土に溶解して行くには、すこし紆余曲折がありそうだった」
「紆余曲折」の英語表現
紆余曲折を英語で伝えたい時、以下の表現が一般的です。
・twists and turns
直訳は「曲がりくねり」ですが、紆余曲折と同様に「込み入った状況」といった意味もあります。
「紆余曲折」の例文・用例
紆余曲折を使った例文・用例を紹介します。
●紆余曲折あったが、何とか任期を終えた。
●紆余曲折を経験して、今がある。
SNSでの「紆余曲折」の使われ方
「紆余曲折」の類義語
紆余曲折の類義語は、「曲折浮沈(きょくせつふちん)」「盤根錯節(ばんこんさくせつ)」「複雑多岐(ふくざつたき)」です。
「曲折浮沈」とは、複雑に絡み合った状況を解きほぐすのに苦心する様のことです。
「盤根錯節」とは、複雑で解決が難しい事柄のことです。
「複雑多岐」とは、物事が多方面に拡大してしまい、事情が複雑化している様です。
「紆余曲折」の対義語・反意語
紆余曲折の対義語は、「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」です。
「順風満帆」とは、物事が順調に運んでいて、滞りの無いこと。