「悪戦苦闘(あくせんくとう)」とは?意味と例文が3秒でわかる!
「悪戦苦闘」の意味とは
悪戦苦闘とは、自分よりも力のある相手に対して、苦しい戦いをすることです。
「あくせんくとう」と読みます。
「悪戦苦闘」の「悪戦」とは、不利な戦局のことです。
また「苦闘」は、余裕も無く戦うことを指します。
上記の二語が合わさることで「苦しい局面に耐えながら、自分よりも強い敵と戦うこと」というふうな意味になります。
転じて「困難な状況の中で苦しみながら頑張ること」としても用いられます。
間違われやすい言葉として「苦行」があります。
「悪戦苦闘」が強敵に勝とうとしたり、困難を打開しようとする意志があるのに対して、「苦行」は精神の鍛練のために、あえて苦しみを受け入れる修行のことです。
苦しい状況は同じですが、悪戦苦闘には「現状を乗り越えようとする」意志が伴います。
「悪戦苦闘」の使い方
悪戦苦闘の意味を整理すると、以下の2パターンに大別できます。
1.強敵に苦しみながら戦うこと
2.困難な状況でも必死に頑張ること
「1」の用法の場合、勝敗を決めるスポーツやゲームで用いられることが多いでしょう。
例えば、以下のような感じです。
「強豪校との決勝は悪戦苦闘の末、なんとか勝利を収めることができた」
「格上の棋士との一戦では、悪戦苦闘を余儀なくされた」
また日常生活やビジネスでは「2」の用法が一般的かもしれません。
「入社したての慣れない職場で悪戦苦闘する」
「育児に悪戦苦闘の日々が続く」
「難易度の高い数学の問題に悪戦苦闘した」
文学作品における「悪戦苦闘」の用例
「悪戦苦闘」は数多くの文学作品の中に散見される四字熟語の一つです。
例えば、太宰治は『男女同権』と題する短編小説の中で悪戦苦闘を以下のように用いています。
「それまでの言語に絶した窮乏生活の悪戦苦闘にも疲れ果て、ついに秋風と共に単身都落ちというだらしない運命に立ちいたったのでございます」
また、芥川龍之介の『蜜柑(みかん)』にも以下のような一節があります。
「あの霜焼けの手が硝子戸を擡もたげようとして悪戦苦闘する容子ようすを、まるでそれが永久に成功しない事でも祈るやうな冷酷な眼で眺めてゐた。」
芥川龍之介はさらに『開化の殺人』でも「悪戦苦闘」を用いています。
「予の明子に対する愛が、幾多の悪戦苦闘の後、漸次熱烈にしてしかも静平なる肉親的感情に変化したるは」
結果よりも結果を得るためのひたむきな努力や強いものに挑む闘志を賞賛する日本文化の風潮に「悪戦苦闘」は親和性が高いのではないかと考えられます。
「悪戦苦闘」の英語表現
悪戦苦闘の英語表現として「struggle」が一般的です。
「もがく」「努力する」という意味に訳されます。
例えば、以下のように用いられます。
「He struggled for independence(彼は独立するため悪戦苦闘した)」
また、「with」を伴うことで「~に奮闘する」という表現が可能になります。
「She struggle with math(彼女は数学に悪戦苦闘している)」
「悪戦苦闘」の例文・用例
悪戦苦闘を使った例文・用例を紹介します。
●新しい企画を立ち上げるための人脈作りに悪戦苦闘する
●若いうちに悪戦苦闘すべきです。
SNSでの「悪戦苦闘」の使われ方
MBA留学に来て、日本人が簡単にこなす金融や経済の科目を米国人達が悪戦苦闘しているのを時々見たが、どこで苦戦しているかよく見ると金融や経済学以前の数学的基礎部分だったことが多々あり、日本の優れた数学教育に感謝すると共に、改めて数学力が金融や経済学の根幹だということを深く実感した。
— Hiroshi Watanabe (@Hiroshi99857672) May 19, 2022
自信というものは無意識のうちに盛っている部分がある。これならできると思ったのに悪戦苦闘して 結果が得られなかった。盛った部分、つまり、幻想の部分の自信に惑わされたためである。これならできると思うものの1ステージ下のものが本当の自分の能力だと思ったほうがいい。
— 志茂田景樹 (@kagekineko) May 20, 2022
「悪戦苦闘」の類義語
悪戦苦闘の類義語は「苦心惨憺(くしんさんたん)」「千辛万苦(せんしんばんく)」「難行苦行(なんぎょうくぎょう)」です。
苦心惨憺とは、苦労して工夫をこらすことです。
千辛万苦とは、様々な苦労や困難を経験することです。
難行苦行とは、悟りを得るため苦しいことに耐える修行のことです。
「悪戦苦闘」の対義語・反意語
悪戦苦闘の対義語は、「余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)」です。
余裕綽々とは、焦らずに落ち着き払っている様子のことです。