「十人十色(じゅうにんといろ)」とは?意味と例文が3秒でわかる!

「十人十色(じゅうにんといろ)」の意味とは

十人十色とは、10人いれば、10通りの個性・趣があるという意味の四字熟語です。

転じて「人の考え方や好み、性格は人それぞれである」という考え方を表します。

読みは「じゅうにんといろ」です。

「とにんといろ」「じゅうにんじゅういろ」と誤読しやすいので注意しましょう。

一般的に「服装は十人十色」といった感じに「〇〇は十人十色」という形式で使われることが多いです。

「十人十色」の語源や由来

十人十色の語源や由来については、はっきりとわかっていないようです。

仏教用語や古語としての出典は見当たりませんが、江戸時代の書物には記述されているため、少なくとも近世以降に流通し始めた四字熟語であると考えられます。

具体例を挙げると、19世紀に成立したと言われている江戸時代の人情本『清談若緑』に、
「夜の契りを挑むなる。十人十色の生酔客。千差万別それぞれに。調子をあはす憂苦労」という文があります。

「十人十色」が使われている作品

十人十色は、他の四字熟語と比べてみると誰にでも覚えやすく、理解しやすい言葉です。

そのためか、多くの文学作品の中に散見されます。

例えば、夏目漱石の名作『吾輩は猫である』に以下の文があります。

「よそ目には一列一体、平等無差別、どの猫も自家固有の特色などはないようであるが、猫の社会にはいってみるとなかなか複雑なもので十人十色という人間界のことばはそのままここにも応用ができるのである。」

また、芥川賞作家の尾崎一雄による『懶い春』の中に「僕らの仲間から優秀な左翼の闘士が出るのも面白いじゃないか。十人十色で、やりたいことをやればいいよ」という文が見受けられます。

ちなみに、英国の劇作家ベン・ジョンソンの代表的な喜劇として『Every Man in His Humour』があり、この作品名の邦訳として『十人十色』が採用されています。

「十人十色」を座右の銘に使うのはアリ?

十人十色を座右の銘にするのは推奨できません。

というのも、一般的に自分を律したり励ましたりするための自戒、または教訓の言葉が座右の銘に選ばれます。

十人十色は「10人いれば10通りの考え方がある」という真理を言い表しているだけで自戒や教訓の意が含まれていないため、座右の銘に適しているとは言えません。

就活等の面接対策として座右の銘を考えているなら、なおさら自分の仕事に対する情熱や意識の高さが伺える言葉を用いたほうが良いでしょう。

「十人十色」の英語表現

十人十色を英語で伝えたい場合には、以下のような表現が一般的です。

・so many men, so many minds.
・many men, many minds.
・several men, several minds
・diverse men, diverse minds
・many heads, many minds.

いずれも「人はそれぞれ異なる考え方を持っている」といった意味です。

あるいは、以下のような言い回しもあります。

・no snowflakes fall in the same spot.

直訳すると「雪の一片が地面の同じ場所に落ちることはない」となります。

転じて「何十億もの人類の中においても、全く同じ人は存在しない」という「十人十色」に近い意味として用いられています。

「十人十色」の例文・用例

十人十色

十人十色を使った例文・用例を紹介します。

✓例文・用例

●生活リズムは十人十色だ。
●意見が十人十色なので結論を出すのが難しい。

SNSでの「十人十色」の使われ方

「十人十色」の類義語

十人十色の類義語は、「各人各様(かくじんかくよう)」「三者三様(さんしゃさんよう)」「十人十腹(じゅうにんとはら)」「多種多様(たしゅたよう)」「蓼(たで)食う虫も好き好き」です。

各人各様とは、人によって様々なやり方があることです。

三者三様とは、3人いれば3つの様子があることです。転じて人それぞれの考え方ややり方があるという意味になります。

十人十腹とは、10人いれば10つの考えや好みがあることです。十人十色と同じ意味です。

多種多様とは、あらゆる種類や性質に富んでいることです。「多種多様な本が並んでいる」といったふうに人以外にも使えます。

蓼食う虫も好き好きとは、人の好みもそれぞれという意味の言葉です。蓼(たで)の実は苦く食べない動物が多いですが、好んで食べる虫もいることに由来します。

「十人十色」の対義語・反意語

十人十色の対義語は、「異口同音(いくどうおん)」です。

異口同音とは、複数人の意見が一致することです。

四字熟語

Posted by 杏奈琴湖